「ブラインド・タッチ」
お久しぶりです。この後しばらくは定期的に更新しておきます。
例のあの地震があった時、ちょうどわたくしはこの公演中でした。
とりあえずは、地震のことではなくこの公演のことについて書きたいなと思います。
この「ブラインド・タッチ」という作品は、サンモールスタジオという劇場が企画した「NUMBERS」という4劇団が参加するイベントの、オムニバス作品の1本として上演されました。もちろん、DART'Sの公演です。
30分で100万分の1の確率をテーマにお芝居をやってください。
そのようなお話でした。
だったので、「6桁の暗証番号を入力しないと出られない部屋」という設定を考えてみました。ベタですが、100万通りだし、わかりやすさは「強さ」でもある。で、ここからがDART'Sなわけで、どうするのが面白い脱出劇になるのか考えました。そこでわたくし思いつきました。
だったら全員の目を潰してしまおう!
うむ。全員目が見えなければ、脱出するのにも苦労する。そして犯人だけが見えてればなお面白い。ついでに「ブラインド・タッチ」というタイトルも思いつきました。
当初は目が見えないまま色々触って、わーとか、きゃーとか言ってると笑えるなとか思ってたのだけど。実際書いてみると、全然笑えなかった。そりゃそうだ。だって閉じこめられてて、目が潰されてるんだもの。
なかなかに恐ろしいサイコサスペンスに仕上がったのですが、本当にわたくしがこの劇でやりたかったのは、「目が見えてない」人と「見えている」人との騙し合いであり、コミュニケーションです。別に怖い話がやりたいわけではなかったんだけど。いや、信じてもらえないでしょうが。
あの地震があり、公演は半ばにして中止になりました。
もし、中止にしないで「やろう」ということになってもDART'Sだけは断るつもりでいました。だって、地下室に監禁されて出られないまま殺されていく話なんて、誰かに見て欲しいと思わない。逆に言えば、俳優さんたちの努力によって、演技のリアリティが「危険」な水準まで上がっていたからってのもあります。怖い話はやるけれど、お客様を不愉快にさせたいわけじゃないのです。
ただこの作品、とても気に入っているので是非またやりたいです。
なるべくならその時は同じキャストで。
2011年04月15日
「ブラインド・タッチ」
posted by 広瀬格 at 02:38| 普段思ったこと