2006年10月07日
野沢尚「龍時」
統一性のない選択ですが、野沢尚です。
本棚を眺めているときにちと目に入ったので、これを。
写真は2003年から2004年の物語です。
シリーズ3冊目ですね。
これは某サッカー雑誌に連載していて、
毎年刊行される予定でした。
ワタシはこの本を1巻目が文庫で発売したときに手に取りました。
サッカーの小説でこんなにおもしろ物がなかったので、
2巻目を探し回った記憶があります。
たしか、当時3巻目が出る直前で、
1年前に出たハードカバー(堅くないけど)
の2巻目は品薄だったのです。
そこに作者自殺のニュースですよ。
悲しかったですよ。
こんなに面白いのに、続き物なのに、
もう読むことができないんですよ!
スペインでのリュウジの活躍が…!
こんな感じでごめんなさい。
ワタシは野沢尚はあまり好きではありませんでした。
破線のマリスのシナリオとかも読んだけど。
上手いのもわかるんですが、
そういう上手さってちょっと…。
だったのですが、この本はちょっと違いました。
熱いなって思いました。
ちょっと読んでみるといいです。
これは傑作です。
もう続きを読むことはできませんけど。
2006年10月04日
スティーヴン・キング「死のロングウォーク」
お久しぶりです。
物語中毒です。
やはり本のことを書くのは苦手なようで、
すっかり間が空いてしまいました。
んで、キングです。
正確にはリチャード・バックマンですけども。
スティーヴン・キングは、たまに名前を変えて本を出してたりします。
だからですね。
これはすっごく昔に書かれました。
キングがまだ売れない頃かな。
そんで一度ボツになったかでバックマン名義で出版したとのこと。
それが信じられないくらい面白いです。
この本はちょっとした奇跡ですよ。
やばいです。
昔に読んだので思い出しながらですが、話は大体こんな感じ。
100人の少年を集めて「Long walk」というイベントをやるのです。
もちろん架空の未来の話で、そのイベントは当たり前になっているのですが。
ロングウォークっていうイベントは単純で、
「100人で歩く。歩けなくなったら射殺」というもの。
最後の一人には富と名誉が…だったかな。
話はスタートの直前から始まり、あとは歩きっぱなし。
ちゃんと99人死にます。
少年たちが、敵対したり協力したりしながら歩いていく様に感動します。
協力しないとまずいんですよ。
眠っちゃったり、気を失ったりしてしまうから。
この事態をリアリティいっぱいに書けるのが、王様らしいですよね。
立ち止まると警告が与えられて、何十秒後かに射殺なんですが、
その警告の間に大便をしたりするんです。
歩きながら小便をしたり。
いや…汚い話ですけど本当に面白いんですよ?
個人的には同じような展開のバトルロワイアルよりも好きです。
夜のピクニックよりも面白いです。
これって、本屋にまだ置いてあるのかなぁ。
ちょっと不安ですが、探してみてください。
文庫本です。手軽です。
読んでください。
読みなさい。
読め。
海外の作家苦手でも読みなさい。
キング嫌いでも読みなさい。
すごいんですから。
2006年06月22日
本多孝好「真夜中の五分前」
最近伊坂人気に押され気味?本多孝好氏です。
何かのエッセイで伊坂幸太郎も書いてたけれど、
この二人はちょっと似ています。雰囲気が、です。
似ているのは、
「死に神の精度(伊坂幸太郎)」と「MOMENT(本多孝好)」
くらいでしょうか。これは似ています。
悪い意味じゃないです。同じ波長なんでしょうね。
確実に彼らの時代が来てますからね。
本多孝好は書く度に確実に変化していく作家です。
今のところは。
わかりやすい成長期だなぁという印象です。
「真夜中の五分前」という作品は、
「ノルウェイの森」です。ワタシのイメージですが。
ただ、嫌な感じがしないのは、
本多氏が自分を持っているからでしょう。
この人の文章を読んでいたい。
そういう気にさせる書き手です。
もうみなさん彼の本は読んだことがあるかと思います。
この作品が未読でしたら是非読んでみてください。
書けば書くほど面白くなってますよ、この作家さん。
マイナーチェンジ。
これからものがたり中毒が進化します。
というか、定義を広げます。
小説だけじゃなくて、漫画、映画を追加して紹介していきます。
とりわけ漫画はどうやらそうとう手広く読んでいるので、
どんどん面白かったものについて書いていく予定です。
もちろん個人的に好きなもののみ掲載していきます。
その上紹介する文章は漠然としています。これは意図的です。
へえ〜と感心する程度にお楽しみ下さい。
2006年06月19日
雫井脩介「クローズド・ノート」
面白いです。終わり。
…やべえおれ向いてねえ。読書感想文も書けない。
内容にはあまり触れないというポリシーから、
面白いのに書くことがないという事態に陥ってます。
お久しぶりです。ものがたり中毒です。
しばらく本が読めなくなりそうなので、再開してみました。
ちなみにここでは、本を挙げて「面白い」と言えばいいのです。
基本的にはそれで終わりです。
つまらない本はここに登場しないので、
ワタシのチョイスを楽しみにしてください。
選ぶのが楽しいんです!読んでみるのが一番ですっ!
ということで、短めに、
しかし多くの本を紹介したいと思います。
いらん前置きが長くなりました。雫井脩介です。
どうしてわざわざ「クローズド・ノート」なの?
という声が聞こえてきそうです。
「火の粉」とか「犯人に告ぐ」などの作者です。
この2作品はとっても面白いです。この人はすごい。
「クローズド・ノート」はちょっと毛色の違う作品です。
おや?と思います。犯罪物じゃありませんし。
個人的にはそこが気に入っています。
犯罪物のリアリティーを描く作家の作品は、
実力があればあるほどお勧めじゃなくなるんですよね。
好き嫌いが別れるから。
でもこの人は読みやすいですよ〜。不思議なことに。
ミステリーとかもたまにしか読まないんですけど。
そんな作家の書くちょっと癒し系(?ちがうか)の作品。
現実を甘く書かないから面白いです。
読んでみて「なんてすごい作家さんなんだろう」
と感動しました。「火の粉」でも感動しましたけど。
この作品はそれ以上に衝撃でした。
こんなきれいなものが作れるんだな。
さ、読んでみましょう!
2006年02月11日
奥田英朗「サウスバウンド」
この本が好きです。
奥田英朗は「空中ブランコ」で直木賞を獲りましたね。
読んだことある人も多いでしょう。
この人は作品によって雰囲気が変わるんです。
だから、好きなのとそうでもないのがあります。
嫌いなものは書いてないので、ちゃんと読んでます。
とりわけ真面目に取り組んだ長編小説が好きです。
「東京物語」とか面白かった。
あれ長編じゃないか。
で、「サウスバウンド」です。
今のところこれが一番好き。
少年の感情とか描くのが上手い作家は好きです。
なんで他にもこういうの書かないのかな。
面白いのに。
友人から借りて読んだのですが、
面白かったのでちゃんと購入しました。
読んだことある人には、
こういう話が好きだというのが、
わかってもらえるんじゃないかと思います。
…読んだことある人には。
…読め。
2006年02月10日
宮部みゆき「ALL SHE WAS WORTH」
宮部みゆきの「火車」です。
その英訳版です。
「なんでわざわざ英語版?」って?
なぜならワタシは素直じゃないからです。
ごめんなさい。
英訳版まで持っているくらい好きな作品です。
こんな小説を書ける人間がいたのか!
衝撃を受けました。
宮部みゆきの本の中で最も面白いのが「火車」ではないでしょうか。
もちろん好みはありますけどね。
この作家について細かく述べる必要もないでしょう。
みんな知ってますよね。
読んだことがなかったら、
とにかくこれを読んでみてください。
古本屋で100円で買えると思います。
しまった、ワタシったらなんて失礼な発言を…。
娯楽ってものは、
面白ければいいんです。
暴力的なまでにそう言いきっている作品です。
余談ですが、
英語と日本語では、文章のリズムが違います。
それは文法的な意味ではなくて。
だから、海外の翻訳物は読みづらいことが多いです。
不思議と、英語なのに読みやすかったのが「ALL SHE WAS WORTH」です。
言葉の意味が推測しやすいんですね。
日本語は本当に素晴らしい。
2006年01月29日
舞城王太郎「世界は密室でできている。」
舞城氏です。
今のうちに書いておきましょう。
この作家さんはとても力のある方です。
ただ読み手を選ぶというか…好き嫌いが別れるでしょうね。
ワタシは結構好きなんです。
圧倒的なセンスがあってそれで押し切れてしまう感じ。
頭のとてもいい人なんだろうけど、
とにかく天才的な感覚ですね。
そしてなによりテンポがある。
それが従来の作家と違うところでしょうか?
あと暴力を書くのがすごく上手です。
「暴力」と書くと嫌な感じがするけど、
彼の書く暴力はちょっと違います。
心に刺さるんだけど、なんか傷跡を残さない感じというか…わからん。
罵り合いとか面白いですよね。
言葉は悪いんだけど小気味いいし。
ワタシたちの年代にとっては等身大な感覚です。
さて、「世界は密室でできている。」です。
初めて舞城作品を読む人にはとっかかりやすいかな、と思います。
ちょっといつもと違う感じなんですかね?
でも、とても好きな作品です。
文庫で厚みもないので、ちょっと気楽に読んでみてください。
面白いですよ。
まだまだ底を見せない作家さんですので、
これからが楽しみです。
2006年01月28日
吉田修一「東京湾景」
みなさん御存知の「東京湾景」です。
ドラマになったんでしたっけ?
よく知りませんけれども。
大好きな吉田修一の一冊目は不本意ながらこの本です。
わりと最近読んだのと、わかりやすいかもしれんということで決定しました。
次はパーク・ライフにします。
吉田修一は、泥臭い人間関係を描いた文学っぽいものと、
現代人の距離感で描いた物とで雰囲気が変わります。
どっちも面白いですよ。
現在最も尊敬する作家の一人です。
すごく上手いです。
おすすめなのは若い労働者を描いた作品ですね。
作者自身が20代半ばまでフリーターだったこともあってか、
肉体労働者たちを描くのが上手なんですね。
彼の描く労働者たちは暗い影がないんです。
ひじょうに現代的な感覚なのかもしれませんが、
ワタシはそれがとても好きだし、いいことだと思います。
例えばこの「東京湾景」ですが、
これは某女性雑誌に連載されていました。
湾岸の倉庫で働く労働者が主人公であるにもかかわらず、です。
ドラマはどうだかしりませんが、小説は面白かったです。
まだ文庫化してないので手軽ではないですが、読んでみるといいですよ。
若干文学っぽい物が好きな人も、
娯楽に徹した小説が好きな人も、
みんな楽しめると思います。
さぁみなさん、吉田修一を読みましょう!
smokersの連中に勧めてるんだけどあいつら読まねえんだよ。
絶対面白いのに。
もったいない。
2006年01月23日
伊坂幸太郎「砂漠」
伊坂続きでごめんんさい。
昨日やっと電車の中で読み終わりました。
一気に読みたい本だったのですが、
そんな余裕は
ない。
まったく
ない。
伊坂幸太郎はあと古いのを2冊くらいでコンプリートです。
そんな勢いなので、もうしばらく続きます。
「魔王」とかね、書いておかないと。
あいだに他の本を挟んでごまかしますが、
しばらくおつきあいください。
で、「砂漠」です。
アマゾンめ。帯付きの写真しかないじゃないか。
帯なんかいらんのよ〜。
これね。
バイト先の読書友達が「サンボマスター」って言ってました。
たしかに「サンボマスター」ですわ。
え?
何のことかわからない?
読みゃわかりますよ。読みゃ。
伊坂節は健在です。
強い個性の登場人物も、ちゃんと扱いこなしています。
あえて安っぽいものを用意しておきながら、そうはならない。
そんな作り方には惚れ惚れしますね。
ちょっとしたひねくれっぷりも、大好きです。
同じにおいを感じます。ははは。
伊坂幸太郎が好きな人とは、
「なぜ彼はそんなにRV車が嫌いなのか」について話したいものです。
なぜなんでしょうねぇ。
読んだことがある人にしかわからない話題でした。
どうも。
読んだ事ない人は、
「魔王」か「死神の精度」から読むといいでしょう。
あいかわらずよくわからない書評ですが、
今回はこの辺で。
2006年01月22日
Robert A. Heinlein「夏への扉」
の、ペーパーバック版です。
ハインラインの「夏への扉」といえば超有名。
SF界の最高傑作ですね。
あんまりSFに詳しくはないのですがワタシもそう思いますよ。
SFはやはり古典に限ります。
新しいのはなにがなにやら、
難しすぎてさっぱりわかりませんもの。
これは最近読んだ本ではないのですけれど、
妙に忙しくて本が読めない日々が続いているので、
過去に読んだものを紹介します。
でも、「夏への扉」はあまりに有名すぎてアレなので、
ペーパーバック版です。
そうです持ってるんですよ、これが。
よっぽど好きなんですねぇ。
ちなみに英語は得意じゃないです。
読むぐらいなら学生の時は出来ましたけど。
もうさっぱりわかりません。
またこのSFが造語だらけなんですね。
SFという性質上しかたがないことなんでしょうけど。
でも、日本語版を熟読していたので何となく意味はわかります。
好きこそものの上手なれ。ですよ。
ちょっと違いますか?
「SFあんまり好きじゃない」
とか
「本自体あんまり読まない」
とか言ってる方、一度読んでみてはいかがでしょう?
もちろん日本語版のほうを。
小説の奥深さとエンターティメントが見事に融合した傑作ですよ。
主人公の個性が無難でよく見えてこないのですが、
こういうのは娯楽小説の常套手段でしょう。
だから良し!
ストーリー展開とか、
猫のピートのエピソードとか、
飽きることのない物語です。
では決まり文句を。
とにかく読んでみてください!
そうすればわかります!
2006年01月19日
伊坂幸太郎「重力ピエロ」
記念すべき1回目はこれです。
伊坂幸太郎の「重力ピエロ」。
面白いです。
読書する時は(演劇を見る時でも同じですが)ただ楽しみます。
あまり深く考えない。
だから、自分が文章を書く時の役には立っていません。
ちょっとちがうか。
自分の文章能力の向上には関与していません。
これが正しい。
いやね、たぶん自分の読者としての力は向上してるんでしょうからね。
楽しむ力、というのも大切ですよ。
それがきっと、自分が文章を書く時に役に立つんですね。
ややや。脱線しました。
ということなので、読んでいる時はわかりませんが、あらためて考えてみると、
この伊坂幸太郎という作家はワタシとよく似ているなと思うのです。
いやいや、そんな意味ではなくて。
特徴がね、似ているんですよ。
本題との距離の取り方とか。
文章のリズムとか。
複線の使い方とか。
人物に対する愛情とか。
まぁいろいろ。
だからなんだって自分で思いましたけど。
似ているからこそ、ため息がでます。
すごいなぁ。
ぜんぜん本作の説明とかしていないですけど、どうでもいいです。
ちょっと読んでみてください。
そうすればわかります。